PDCAとは?意味・PDCAサイクルの効果的な回し方をわかりやすく解説

PDCAサイクルはビジネスを成功に導く手法として、多くの企業に採用されています。

しかし、「PDCAの意味がわからない」「PDCAを効果的に実践できているか不安…」というビジネスパーソンもいらっしゃるでしょう。

本記事では、PDCAサイクルの意味と効果的な回し方について解説します。

どのようにPDCAを活用すれば、課題を迅速に解決し、市場における競争力を高めることができるのかみていきましょう。

 

PDCAとは?

まずは、PDCAの基本的な意味とビジネスで必要とされている理由をお伝えします。

 

PDCAの意味

PDCAは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)の4つのステップで構成されています。

それぞれの頭文字をとって「ピーディーシーエー」と呼ばれています。

PDCAサイクル

品質改善に取り組んでいたウォルター・シューハート博士のアイデアが、統計的品質管理の研究者であるエドワーズ・デミングによって日本に持ち込まれ、マネジメント品質を向上させるためのフレームワークとして確立しました。

現在ではビジネスのあらゆる分野で幅広く利用されています。

Planから始まり、Actionまで進んだら再びPlanに戻るという4つのプロセスを繰り返すことから「PDCAサイクル」と呼ばれています。

PDCAサイクルを回し続けることで、業務を持続的に改善し、業務の効率化や業績の向上を実現できるのです。

 

ビジネスでPDCAが必要とされているのはなぜ?

ビジネスの環境は常に変化し、以前の成功法が陳腐化するのは自然なこと。

企業が成長を続けるためには、時代の変化に対応していく柔軟性が求められます。

PDCAは、ビジネスで起こるどんな課題にも柔軟に適用できるフレームワークです。

PDCAサイクルを正しく実践すれば、成果を上げたり課題を解決したりする手助けとなるため、ビジネスにおいて常に重要視されているのです。

日本を代表する世界的企業であるトヨタも、PDCAサイクルを高く評価しています。

 

【PDCAサイクルの運用方法】各プロセスでやるべきこと

【PDCAサイクルの運用方法】各プロセスでやるべきこと

ここではPDCAサイクルの運用方法と、各プロセスで行うべき具体的な行動について説明します。

PDCAを活用して組織やプロジェクトを向上させるためにどのようなステップを踏むべきか、さっそくみていきましょう。

 

【Plan】プラン(計画)

目標とプランの設定は、PDCAサイクルのスタート地点です。

設定の際には以下の5W2Hの要素も考慮します。

  • 誰が(Who)
  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)
  • いくらで(How much)

具体的な数値や指標を使用し、誰もが理解しやすい目標やプランにすることが重要です。

 

【Do】ドゥ(実行)

Do(実行)では、Plan(計画)で設定した目標とプランに基づいて実践します。

具体的には以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • 進捗を記録し、数値的なデータを収集して実行の状況を把握する
  • 計画通りに進まない場合は調整し、柔軟に対応する

 

【Check】チェック(評価)

実行内容の検証は重要です。

例えば、次の2点をブレイクダウンしていくのが効果的です。

  • 設定した目標が達成されたかどうか
  • 計画通りに実行できたかどうか

特に、計画通りに進まなかった場合は、その背後にある理由や要因を詳しく分析する必要があります。

計画通りに進んだ場合も成功の要因を分析し、いずれの場合もPlan(計画)で設定した数値目標が適切であったかを評価することが大切です。

具体的な数値やデータを根拠として評価結果をまとめることで、PDCAサイクルのAction(改善)の方向性が決まります。

 

【Action】アクション(改善)

Action(改善)では、Check(評価)で明らかになった分析と検証の課題に対して改善策を検討します。

改善策を考える際には以下のアプローチを検討しましょう。

  • 既存のプランを維持するかを決める
  • 複数の視点で新しいアイデアを導入し、目標達成に向けた新たな方向性を決める
  • 一部の計画が効果的でないことがわかっている場合、これらを中止または延期する

適切な改善案を導き出し、さらなる品質向上を目指します。

 

PDCAサイクルのメリット・デメリット

PDCAサイクルを適切に回せれば、効果的な問題解決とプロセス改善が可能です。

しかし、注意すべきポイントも存在します。

ここでは、PDCAサイクルのメリットとデメリットについて解説していきます。

 

メリット①目標やタスクが明確になる

PDCAサイクルは、組織やプロジェクトにとって目標の明確化とタスク管理を助け、成果を最大化します。

例えば、PDCAサイクルの最初のステップであるPlan(計画)では、具体的な目標が設定され、組織やプロジェクトが達成したい結果が具体的になります。

その結果、何を達成しようとしているかが定義されるため、目的が明確になるのです。

また、Plan(計画)では目標達成のための具体的なプランも策定されます。

どのタスクをどの順序で実行するか明確になることは、プロジェクトメンバーにとっては大きなメリットです。

 

メリット②行動に集中できてモチベーションが上がる

PDCAサイクルを適切に回すことで、モチベーション向上と行動への集中力が促進されます。

理由は以下の通りです。

  • 組織が何を求めているのか、自分が何をしなければならないかが明確になる
  • 明確な目標に向かって取り組むことで意欲が高まる
  • タスクが明確になることで作業が整理され、効率的に実行できる環境が整う

プロジェクトメンバーのモチベーションや集中力の向上により、目標達成に良い影響を与えるでしょう。

 

メリット③業務の改善点がハッキリわかる

PDCAサイクルは業務課題を明確にし、それらに対する解決策を検討するためのフレームワークです。

単に結果を受け入れたり不満を抱えたりするのではなく、「成功の要因は何か」「どのように問題を解決できるか」といった要因を徹底的に分析します。

分析結果を元にPDCAサイクルを繰り返すことで、業務の改善点が明確になり、改善策を試すことが可能になります。

その結果、業務の持続的な向上が実現されるのです。

 

デメリット①時間がかかってしまう

PDCAサイクルは4つの段階を経る必要があり、一定の時間がかかるのがデメリットです。

途中で新たな課題が浮上しても、即座に対処できるわけではありません。

また、一度PDCAサイクルを回しただけで問題が解決するわけではありません。

成功を収めるには、何度もサイクルを繰り返す必要があります。

このように、PDCAサイクルのプロセスが時間を要する性質から、迅速な意思決定が難しいことも多いです。

 

デメリット②異なった視点でのアイデアが出にくい

同じメンバーが繰り返しこのプロセスを行うと、意思決定の視野が狭くなりがちです。

その結果、既存の枠組み内での改善や小規模な変化にとどまることがよくあります。

これでは革新的で画期的なアイデアが生まれにくいといえるでしょう。

現代では独自性と革新が求められる状況も多いため、前例のないアプローチが必要になることもあります。

そのためにも、外部の意見や異なる分野の事例を参考にするなど、新たなアイデアを取り入れる工夫が必要でしょう。

 

成功への道!PDCAサイクルを効果的に回す4つのポイント

成功への道!PDCAサイクルを効果的に回す4つのポイント

PDCAサイクルを効果的に活用するためには、いくつかポイントをおさえておくことが重要です。

ここからは、PDCAサイクルを効果的に回すための4つのポイントを紹介し、組織やプロジェクトの成果向上に貢献するコツをお伝えします。

 

目標数値を具体的に設定する

PDCAサイクルの計画段階では目標を抽象的なものにせず、具体的な数値や指標として設定することが大切です。

具体的な数値は進捗を測定しやすく、目標の達成度を評価する基準となります。

例えば「売上を20%増加させる」「顧客満足度を90%に向上させる」など、明確な数値を使って目標設定をすると効果的です。

 

計画に無理がないようにする

計画段階で目標やプランを策定するときは、現実的かつ実行可能なものであるかを確認しましょう。

無理な計画は失敗につながります。

人的リソースや時間に見合った目標を設定し、現実的なスケジュールを組むようにしましょう。

 

計画したら必ず実行に移す

計画はただ机上の空論で終わらせるのではなく、実際に行動に移さなければPDCAの意味がありません。

そのため、計画段階で策定したプランを着実に実行しましょう。

確実に実行するためには、計画段階でしっかりとメンバーごとにタスクを割り当て、責任の所在を明確にしておくことも重要です。

 

定期的な評価・改善をする

PDCAサイクルを効果的に回すためには、定期的な評価・改善を行うことがポイントです。

  • 進捗状況が計画通りに進んでいるか
  • 目標に対する達成度はどのくらいか
  • 新たな改善策は何か

など、評価・改善を習慣化することで、早めに課題を特定し適切な軌道修正ができます。

 

PDCAサイクルは古い!?OODAループについても知っておこう

PDCAサイクルは多くの組織やプロジェクトにおいて、業務改善や課題解決に役立つ確立されたフレームワークです。

しかし、時代は常に変化し、ビジネス環境も複雑性とスピードを増しています。

最後にPDCAサイクルに代わるアプローチとして「OODAループ」について紹介します。

現代のスピード感ある意思決定と行動に対応する方法として、OODAループも理解しておきましょう。

 

OODAループとは?

OODAループは「ウーダ」と読み、Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の4つのステップで構成されています。

PDCAサイクルに似た意思決定と行動のフレームワークですが、変化の速い状況で優れたパフォーマンスを発揮する方法とされています。

また、PDCAは一度進んだら戻りにくいサイクルですが、OODAは戻り・修正ができるループです。

OODAループは変化の激しい状況で過去の経験にとらわれず、現実に合った行動を取ることを目的としています。

 

PDCAサイクルとOODAループの違い

PDCAサイクルとOODAループは、どちらも一連のステップを繰り返すモデルであり、行動と意思決定に関連しています。

しかし、それぞれの違いもあります。

  • PDCAサイクル・・・品質改善や問題解決に焦点を当てている
  • OODAループ・・・迅速な意思決定と行動に焦点を当てている

具体的な違いは、各サイクルのフェーズにも現れます。

PDCAサイクルでは、実行をしたあとに評価・改善というステップで進んでいきますが、OODAループは実行フェーズが最後になっています。

つまり、PDCAはより静的な改善プロセスを支えるものであり、OODAは迅速な対応が求められるリアルタイムの状況に適しているのです。

 

まとめ

まとめ

PDCAサイクルは業務改善の強力な手法です。

目標やタスクが明確になることで、プロジェクトメンバーが行動に集中でき、モチベーションが上がるなどのメリットがあります。

一方で、改善に時間がかかる、画期的なアイデアが出にくいなどのデメリットもあります。

PDCAサイクルの効果を最大限に引き出すためには、やみくもに進めるのではなく、以下のポイントをおさえてください。

  • 具体的な数値目標を設定する
  • 人的・時間的に無理な計画を立てない
  • 計画をしたら必ず実行する
  • 定期的な評価・改善を怠らない

PDCAサイクルを効果的に活用して、組織の生産性向上や成果につなげていきましょう。