「セグメント」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。
しかしながら意味を聞かれると説明に困る人もいるのではないでしょうか。
この記事では、セグメントの意味やマーケティングで活用する方法、セグメントの仕方などをわかりやすく解説します。
効果的なマーケティング戦略を立てたい人は、ぜひ参考にしてください。
セグメントとは?
「セグメントの意味はなんとなくわかるけれど、きちんと説明できる自信はない」
そんな人は、セグメントとは何かを明確に把握しておきましょう。
マーケティングにおけるセグメントの意味
セグメント(segment)の基本的な意味は「区分」や「部分」などです。
マーケティングにおける意味になると、その多くは「既存顧客や見込み客を何らかの指標で区切ったまとまり」を指します。
指標は、性別や年齢、対象の商品・サービスを知ったきっかけ、購入までの流れなど、多岐にわたります。
「セグメンテーション」は2つの意味で使われる
セグメントと似たワードとして「セグメンテーション」があります。
マーケティング分野でのセグメンテーションの意味は、
- 顧客をセグメントに区分する行為
- 何らかの指標で顧客が区分されている状態
この2つです。
セグメントとターゲットの違い
セグメントの意味を知ると、混乱するのが「ターゲット」との違いでしょう。
セグメントは、ユーザーを何らかの指標で区切ったグループのことです。
一方ターゲットとは、マーケティングの方向性に沿うようにピックアップした複数のセグメントを指します。
もしくは、ひとつのセグメントから、さらなる条件で絞り込み、抽出した対象者をターゲットする場合もあります。
いずれにせよ、セグメントあってのターゲットということに変わりありません。
セグメントは必要?セグメントのメリット
顧客ニーズの多様化が進む中、幅広い層を狙った結果、際立った特徴のない商品やサービスは埋もれてしまいます。
そのため、セグメントを設定してアプローチをかける集団を明確化し、そこに向けた開発やプロモーションなどのマーケティング戦略を実施することが重要です。
セグメントをしっかり行うことで、必要としている人が満足できるものを届けられるようになります。
具体的にセグメントがどのようなメリットを持つのか見てみましょう。
ターゲット層にピンポイントな広告制作ができる
セグメントを行い、ターゲットを定めることで、その層を狙ったピンポイントな広告制作ができます。
万人受けすることを意識すると、どうしても表現が抽象的になり、印象に残らない広告になりがちです。
一方、届けたい対象が絞られていると、どのような広告表現が心を捉えるのか考えやすくなります。
すると、表現が具体的になり、商品やサービスを知ってほしいターゲット層に「自分に必要なものだ」と認識してもらいやすくなります。
ニーズを先取りした商品開発ができる
セグメントによって流行は異なり、その際に生まれるニーズも違います。
しかも、トレンドは移り変わるので、変化するニーズを捉え、先回りして商品開発を行わなければなりません。
セグメントを行い、ターゲットを絞っておくと、先々予想されるトレンドにあわせてニーズを先取りした商品の開発がしやすくなります。
マーケティングにすぐ活用できる!セグメントの代表的な分類方法
セグメントについてわかったら、気になるのは「どのように分類してセグメントを設定するか」でしょう。
ここでは代表的な分類方法を紹介します。
マーケティングにすぐ活用できるので、ぜひ参考にしてください。
心理的変数(サイコグラフィック変数)
サイコグラフィック変数ともいわれる「心理的変数」は、消費者の心理に基づく分類方法です。
具体的にいうと、以下のように分類します。
- 価値観
- ライフスタイル
- 趣味嗜好
たとえば、ジムに入会しようとしている人の価値観で分類するなら、
- 本格的に鍛えたいからマシンの数は重要
- 運動不足を解消したい程度だから気軽に通いたい
- ダイエット目的で、食生活の指導をしてくれるアドバイザーが欲しい
などでしょうか。
心理的変数は、ほかの分類方法と比べると、個人によってバラつきがあり複雑になりがちです。
それだけに関連情報の収集と分類は大変ですが、心理的変数は購買行動に沿ったマーケティング戦略を打つのに重要となります。
消費者心理を細かく知るために、アンケートだけではなくインタビューを行うのがおすすめです。
地理的変数(ジオグラフィック変数)
地理的変数(ジオグラフィック変数)は、その名の通り、国やエリアを指標として分類する方法です。
商品やサービスの海外展開を視野に入れている場合は、その国の風土や文化、宗教を考慮する必要があります。
国内のみの展開でも、商品・サービスのカテゴリーによっては、地域ごとの習慣や好みなどにあわせなければ、うまくいかない場合もあるでしょう。
また、寒さが厳しいか温暖かといった「気候」や、人口密度による分類を行うケースもあります。
人口動態変数(デモグラフィック変数)
最も明確なセグメントの仕方はデモグラフィック変数とも呼ばれる「人口動態変数」でしょう。
人口動態変数とは、以下のようにアンケートでよくみかける属性での分類を指します。
- 性別
- 年齢(年代)
- 職業
- 雇用形態
- 年収
- 家族構成
- 未婚/既婚
実家暮らしか一人暮らしか、賃貸か持ち家かなど、さらに細かく分類していくこともあります。
行動変数(ビヘイビアル)
行動変数(ビヘイビアル)は、すでに商品やサービスを利用している人を購買行動によって分類することです。
分類指標の例として、以下のものがあります。
- 購入、利用している商品やサービス
- 費やした金額
- 購入した目的
- 購入する頻度
商品やサービスへの忠誠心や愛着が強い顧客を「ロイヤルカスタマー」、何度も購入・利用している顧客を「リピーター」と呼びます。
このような顧客には、引き続き利用してもらうために、より良いカスタマーエクスペリエンスを提供するための施策を行うことが大切です。
また、「トライアラー」と呼ばれる新規顧客には、リピーターになってもらうべく、適度なコミュニケーションをとるようにします。
商品やサービスを届けた後も、セグメントを行い施策を実施していくことが大事です。
セグメンテーションを評価するときに重要な「4つのR」
マーケティングをするにあたって、ただセグメンテーションをすればいいというわけではありません。
商品やサービスを求める人のもとへ、きちんと届くようにすることが目的なので、適切に機能する分類になっていることが重要です。
そうなっているかを評価するための「4つのRの原則」を確認しておきましょう。
Rank(優先順位)
細かくセグメンテーションを行っても、そこからピックアップした要素が、経営戦略として設定した優先順位とずれていれば、どこかで頓挫するでしょう。
そのため、
- 顧客のニーズに沿っている
- ほかにはない商品・サービスである
- 企業として秀でている分野である
- かける費用や時間が見合っている
といったことの中で、戦略として優先すべき項目に合ったセグメントをrank(優先順位)の上位に置いているかをチェックします。
Realstic(規模の有効性)
Realisticとは「規模の有効性」のことで、そのセグメントの規模がビジネスとして成功といえる売上や利益が見込めるかを評価します。
多様化するニーズに沿うため基準を細分化してセグメントを設定することは大切ですが、対象とする規模が小さく、採算が合わないのでは商売として成り立ちません。
採算を度外視したビジネスをしないためにチェックすべき項目です。
Reach(到達可能性)
商品やサービスを開発したら、設定したセグメントに属する人に届けなければなりません。
もしも、見込み客の大多数が海外なら、その人たちのもとにReach(リーチ)させることが可能か、その到達可能性を見定めることもセグメントを設定する際は大事です。
到達させることが難しいとしても、そこをクリアできるなら競合に勝る部分になります。
Response(測定可能性)
商品やサービスの開発や改良、広告宣伝には、そのセグメントに属するユーザーからResponse(反応)を得て、データ分析をすることが大切になります。
いわゆる「測定可能性」もセグメンテーションで考慮すべき点です。
市場におけるユーザーの規模や特性、購買力といった情報、実際に商品やサービスを利用した人のフィードバックが得られるかも、セグメントの選定基準としましょう。
まとめ
ニーズの多様化に伴い、マーケティングにおけるセグメントの設定は重要な役割を果たします。
セグメントは、代表的な分類方法をもとに多角的に設定しましょう。
複数あるセグメントから、ターゲットとなりうるセグメントを選定する際は、4つのRを意識して行わないとビジネスとして成り立たなくなる可能性があるので要注意です。
世にあるニーズを満たしたうえで、利益を出せるビジネスにするため、セグメンテーションは抜かりなく行うようにしましょう。